梅について

梅は、3世紀の終わり頃、日本にもたらされたといわれ、日本では古くから親しまれてきた果物です。

梅の実は、奈良時代には、柿や桃、あんずなどと同様に生菓子に加工して食べていたといわれています。
そして、時代を経て梅の効用が知られるようになり、梅の塩漬けが保存食、食薬品として用いられてきました。平安時代中期には、梅干の原型ともいえる梅の塩漬けが「梅干」として書物に現れます。

鎌倉時代あたりから梅干しが重宝されるようになっていき、戦国時代では保存食として、また傷の消毒や戦場での食中毒、伝染病の予防に活用されました。

江戸時代に入って梅干は、庶民の食卓にものぼるようになりました。梅干のしそ漬けが普及し始め、梅を砂糖漬けにした甘露梅などさまざまな梅の漬け方がされるようになります。現在では梅は、梅干し、梅酒や梅ジュース、梅シロップ、など実に様々なものに加工され愛され続けています。

梅の効能

豊富なミネラル

骨、歯、血液、組織液など人間の体を形成しているものの中には鉱物性の栄養素が含まれています。これらの一般的にミネラルと呼ばれる栄養素が不足すると、人間の体はバランスを崩し、いろいろな病気を引き起こしてしまいます。

梅には身体に必要なミネラルが豊富に含まれています。リンゴに比べて小さい梅の実ですが、なんとカルシウムはリンゴの4倍、鉄は6倍も多く含まれています。マグネシウムや亜鉛も実は梅の実の方が多いのです。

疲労回復効果 老廃物が溜まるのを抑える

エネルギー代謝がうまくいかないと、栄養素の不完全燃焼が起こり、疲れや肩こりを感じたり、細胞の老化、動脈硬化、生活習慣病などの原因にもなります。

梅の酸味成分でもあるクエン酸やリンゴ酸などの有機酸は、糖質の代謝を促し活性化させる働きがあります。これにより栄養素をエネルギーに変換する働きをスムーズがなります。

つまり梅は、疲労回復だけでなく、腰痛や肩こりなどの緩和、老化防止、疲れにくい体づくりにも役立つことが期待できるのです。

唾液の分泌を促進させて食欲増進

梅の酸味成分であるクエン酸は唾液の分泌を促して食欲を増進させるばかりでなく、胃液やその他の消化酵素の分泌を高めて消化吸収を助けてくれます。さらに、梅に微量に含まれているピクリン酸は腸の働きを活発にし、便通の改善も期待できます。

食事バランスを整える代表的なアルカリ性食品

健康維持のためには、私たちの体の酸性とアルカリ性のバランスをとることが欠かせません。健康でいるためには体液(血液や細胞液)を弱アルカリ性に保つ必要があります。

現代生活ではどうしても酸性食品を多く摂りがちですが、体液が酸性化すると血液はドロドロになって毛細血管の流れが悪くなり、血行不良などを引き起こす原因となります。

身体のためにはアルカリ性食品を食べて、酸性を中和させる必要があります。梅干しはすっぱいですがアルカリ性食品で、ほんの少し食べるだけで酸性を中和することが出来る優れものです。

牛肉100gを食べたとき、酸性を中和するには、例えばきゅうりの場合約900g(なんと約9本)も必要になりますが、梅干しならたった5g(約1/2~1個)で十分なので、野菜を大量に食べるよりも効率的です。

梅はカルシウムや鉄の吸収を促す

現代人のカルシウム不足は以前から指摘されてきましたが、毎日の食事で気をつけて摂取するようにしても、カルシウムは吸収効果が悪いので体になかなか定着しません。しかもカルシウム吸収率は年齢とともに低下していくのです。

しかし、クエン酸などの有機酸には吸収率の低いカルシウムや鉄の吸収を促しカルシウムが骨から持ち出されるのを防ぐなどの働きがあるといわれています。つまり梅を毎日食べると、体内でのカルシウム定着率が高まっていくことが期待できます。

梅の殺菌作用 微生物の繁殖を抑え食中毒予防にも

梅に含まれているクエン酸は、殺菌・除菌効果に優れています。昔からおにぎりやお弁当に梅干を入れるのは、クエン酸の微生物の繁殖をおさえる効果を狙ったものです。
さらに、お腹の中に入ると胆汁の働きを活発にし、食中毒の原因となる菌に対する効果も期待できます。また近年では、梅に胃や十二指腸かいようの原因とされ胃がんとの関連も指摘されるヘリコパクター・ピロリ菌の増殖を抑制する効果があることが明らかになりました。

美肌、老化防止 むくみ解消、女性の悩み、シミ・シワにも

肌のシミ、シワ、くすみなどの原因のひとつとして、内臓の老化があげられます。

梅のクエン酸は、新陳代謝を促し体内の老廃物の排出を促進してくれます。これにより、むくみの解消、美肌や老化防止なども期待できます。

また、梅にはポリフェノールやビタミンEなどの抗酸化成分が含まれ、野菜や果物の中でも優れた含有量を誇ります。