
- 基本情報
ラベンダーは、地中海西部の森林の豊かな地域が原産のシソ科の多年草で、数千年に渡り最も愛されてきた
芳香性ハーブです。
すがすがしい香りと可憐な花で「ハーブの女王」とも呼ばれ、栽培品種は100種類を超えるといわれています。
ラベンダーはヨーロッパやアフリカ、アメリカに広く分布し、花色は白、淡紫から濃紫までと幅広く、草姿は形や
高さも様々です。主に栽培されている品種に、イングリッシュラベンダー(コモンラベンダー)、フレンチラベンダー(ストエカス)
などがあります。ラベンダーは観賞用として花を楽しむほか、花や茎葉など全草に香原料として芳香成分を含有しているため、
ハーブティーや精油(エッセンシャルオイル)、入浴剤、ドライフラワー、ポプリなどに利用されています。蒸留して得られた精油は香料や香水の材料になりますが、ラベンダーの精油は、アロマテラピーにおいて頻繁
に使われています。
精油の主成分は酢酸リナリルを中心とするエステルやリナロールなどのモノテルペンアルコールで、
緊張やストレス、不安感をやわらげる鎮静・鎮痙作用と、抗菌・抗真菌作用を発揮します。 - ラベンダーの歴史
ラベンダーの語源は、ラテン語で「洗う」という意味の「ラワーレ」に由来しています。
古代ギリシャの時代には心身の浄化に用いられ、古代ローマ時代には傷口の洗浄や入浴時の芳香剤、
美容のための香料として用いられていました。
その後、中世においては、ドイツの博物・植物学の祖といわれる修道女ヒルデガルドによって
ヨーロッパ全土に広まったといわれています。
スペインやポルトガルでは、祝福のためにラベンダーが家や教会の床にまかれました。
ラベンダーは香りだけでなく、気分を高め、肺炎をはじめとするウイルスと戦い、
ハエや蚊を寄せ付けない効果もあります。またイギリスでは、ウイルスや菌、伝染病を追い払うためのかがり火にラベンダーが使われていました。
中世におけるペスト流行時には、ラベンダー畑で働いていた農夫だけは感染を免れたといわれ、その強い殺菌性や
抗菌性を利用して、小枝をローズマリーやアンジェリカと共にペスト患者の家で薫蒸したとされています。そしてフランスでは、伝染病であるコレラ対策にも用いられていました。第一次世界大戦時には
その高い殺菌性により、病院の床や壁の消毒に使われていました。
ラベンダーの効果
リラックス効果
ラベンダーの精油の香りやハーブティーは、体と心の両方にリラックス効果をもたらします。
精油に多く含まれる酢酸リナリル成分が神経を鎮静させるといわれ、不眠の改善に働きます。
さらにラベンダーの香りは、怒りをやわらげ中枢神経のバランスを回復させるといわれ、
ストレスや不安、落ち込んだ気分などの神経疲労に活力を与え、心の不調を取り除いてくれます。